三条市荻堀のしただ歯科は「患者様にとって身近で安心してかかれる」歯科医院を目指します
8:30~12:30/14:30~19:00
(日曜・祝祭日 休診)

掌蹠膿疱症と歯科との関連について

今回は皮膚科と歯科の連携が疾患の治療において重要である、掌蹠膿疱症について取り上げたいと思います。この疾患に罹患している患者様で、しただ歯科を受診されている方は年間を通して数名おられます。皮膚科からの紹介を基に治療を進めていくわけですが、先ず掌蹠膿疱症の概要を説明致したいと思います。

手のひらや足の裏に膿が溜まった小さな水ぶくれが繰り返し次々と出来て、かゆみや痛みを伴うことが多い、慢性の皮膚疾患です。膿の中に細菌はなく、体の他の部位や人に感染することはありません。周期的に良くなったり悪くなったりを繰り返すことが特徴です。手のひらや足の裏以外に、膝やすね、肘、頭などにも症状が現れることがあります。 体のどこかに慢性的な感染症があり、それが引き金となり体の他の部位に別の病気を引き起こす「病巣感染」の代表な疾患といわれております。

原因ですが、喫煙や金属アレルギーなどが関与していることが分かっておりますが、歯科領域の歯周炎、根尖病巣、智歯周囲炎、耳鼻科領域の扁桃炎、副鼻腔炎などの治療を行うことで改善されることが多いです。しかし、原因を突き止めることが出来なく難治性になっているケースもあるのが現状です。

ここで①歯周炎、②根尖病巣、③智歯周囲炎について解説していきます。

先ず歯周炎の治療についてです。

初期の歯周炎では歯石を除去し、患者様によるプラークコントロールを行います。歯石は歯磨きでは除去出来ない為、超音波スケーラーやキュレットなどを用いて除去します。

次にプラークコントロールですが、これは患者様がしっかりプラークを除去するものであり、ブラッシング指導による歯磨き、糖の摂取を控える食生活などがこれに該当します。

次に中期の歯周炎では歯茎の炎症に加えて歯を支えている歯槽骨が溶かされ始めています。そうなると歯周ポケット(歯と歯茎の境目の溝)も深くなっているため、歯周ポケットに溜まった細菌の除去が困難になってきます。

その場合には、フラップ手術を行って歯茎を切開して直接歯周ポケットの清掃を行います。この段階でも歯石の除去とプラークコントロールが非常に重要になっています。

重度の歯周炎では歯槽骨が溶かされている範囲が広くなっています。この時歯を支えている歯槽骨が完全に溶けてくると歯がグラグラして抜歯の処置が必要になります。抜歯をしますと歯を失ってしまう為、その後、ブリッジやインプラントで対応することになります。

次に根尖病巣について解説していきます。

虫歯の原因細菌による歯の神経への感染、嚙み合わせが高い、知覚過敏などが原因で持続的に歯髄(歯の神経)を刺激すると、歯髄炎と呼ばれる歯痛が起こります。歯痛がある状態を放置しておくと歯髄炎が進行して歯髄が死に、歯髄が腐り感染根管となります。歯髄が死ぬと神経細胞がなくなる為、一時的に痛みがなくなります。しかし、感染は広がる一方です。

感染根管になってしまうと、繫殖した細菌は歯の内部に侵入しながら、歯を支える歯根の周りの骨を溶かして膿が溜まります。これを根尖性歯周炎とよびます。炎症が広がると、歯根膜炎や根尖病巣、歯根嚢胞とよばれます。

死んで腐った歯髄とその周りの汚れた歯根を同時に清掃しなければ溜まった膿はなくなりません。これらをファイルという器具で根管内清掃します。根管内の掃除が終わったら、根管内を薬品で洗浄し、殺菌します。この様な治療を感染根管治療とよんでいます。汚れがなくなると溜まった膿は自然になくなります。

根管内の殺菌が終わったら、ガッターパーチャとMTAセメントを充填します。再感染しないように、隙間なく詰め物をします。

根管の治療が終わったら、被せものの治療を行います。

歯茎が腫れている場合は切開して内部の膿を出します。食べ物の飲み込みが困難になったり顎のリンパ節が腫れるなどあまりににも腫れや発熱がひどい場合は点滴や入院が必要になります。

ですので、おかしいなと思いましたら早めの受診をお勧めします。

最後に智歯周囲炎について解説していきます。

智歯とは親知らずのことを言います。智歯周囲炎は親知らずの周りの歯茎に起きた炎症のことを言い、歯茎の腫れや痛みだけではなく、お口が開かなくなることもあります。

智歯周囲炎の原因ですが、親知らずが真っ直ぐに生えてこないことと、前の歯との間に隙間ができ、汚れが溜まりやすくなってしまいます。その為、細菌が増え、炎症が起きてしまいます。

親知らずは、顎の一番奥に位置している為、生えてくるスペースが足りず、正常に生えてこないことが多いです。傾斜して生えたり途中までしか生えてこなかったりすると、親知らずの上に、歯茎が被った状態になります。

親知らずの治療ですが、軽度の場合は、炎症が起きている場所の洗浄や、抗菌薬の服用によって症状を改善出来ますが、進行して重度になると、入院して治療が必要になる場合があります。

又、症状が改善しても繰り返し炎症が起きる場合が多い為、抜歯を勧めることがあります。

智歯周囲炎を予防するには抜歯が一番良いですが、細菌や汚れが溜まらないようにすることが大切です。親知らず周辺に汚れが溜まりやすいのは、親知らずの生え方だけでなく歯ブラシが届きにくいことにも理由があります。その為、ブラッシングの仕方を見直し、親知らず付近だけでなく、お口全体のケアをしっかり行うことが大切になります。

親知らずは智歯周囲炎をはじめ、様々なトラブルの原因になります。

レントゲンで親知らずの有無や生え方を確認できますので、現在歯がどういう状態なのか気になる症状がある場合にはお気軽にご相談ください。

しただ歯科 笹川 弘康