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喫煙が体に及ぼす影響について

先日、下田中学校2年生を対象に「 喫煙とドラッグの全身に及ぼす影響 」について歯科保健講話を致しました。

今回はタバコに焦点をあててみたいと思います。

タバコはナス科タバコ属の一年草の亜熱帯植物です。タバコにはニコチン、タール、一酸化炭素が含まれ、三大有害物質と呼ばれています。ニコチンは血液の循環障害を引き起こし、歯茎の細菌に対する抵抗力を低下させます。タールには60種類以上の発癌物質が含まれています。又、ヤニとして組織に沈着し、更に歯垢や歯石を着きやすくさせます。一酸化炭素は、血中のヘモグロビンと結合し、酸素の供給能力を悪化させるため、組織の酸素不足を起こします。タバコにはこの様な重大な有害物質が高い濃度で含まれています。

それではタバコの中に含まれる有害物質が体全体に及ぼす影響について述べたいと思います。タバコの有害物質は、体の中に吸収され、呼吸器疾患、循環器疾患、消化器疾患など沢山の病気をもたらします。呼吸器疾患は息切れや咳が出やすくなり、慢性気管支炎、肺線維症、肺気腫、最悪の場合、肺癌を引き起こします。循環器疾患としては、高血圧、心筋梗塞、狭心症、脳梗塞、動脈硬化など、消化器疾患としては、胃潰瘍、十二指腸潰瘍など、又、食道癌、胃癌といった命を奪う恐ろしい病気を引き起こします。

タバコを吸う人はタバコを吸わない人に比べ、癌の死亡率が高く、特に、喉頭がんの発生率がかなり高いです。又、タバコは色々な病気を引き起こすばかりでなく顔つきまで変えてしまいます。タバコを長い間吸っていると、その有害物質の作用で皮膚は黒ずみ、しわが出来、やつれた顔になります。実際の年齢よりも老けた顔になっていきます。

次にタバコが口の中に及ぼす影響についてお話します。長い間、タバコを吸っていると歯茎が黒くなりやすいという研究結果が出ています。これはタバコだけが原因というわけではありませんが煙に対する防御反応で歯茎が黒ずむのではないかと考えられています。最近、スポーツ選手や芸能人の影響もあって、歯を 白くしたいという欲求が高まってきているにもかかわらず、若者の喫煙者が増えています。いくら歯を白くしても、歯茎が真っ黒では魅力ある口元とは言えないと思います。

他には口臭を発し食べ物の味や匂いを麻痺させる味覚障害、臭覚障害を引き起こし、虫歯や歯周病を悪化させ、最も恐ろしい場合、口腔癌、舌癌などの癌を引き起こします。

次は歯周病についてです。長い間タバコを吸っていると歯に汚れが付きやすくなり、歯茎が腫れやすくなります。菌に対する抵抗力が弱まる為です。又、ビタミンCがどんどん消費されるので歯茎を作っているコラーゲンの合成がうまくいかなくなるなどの理由から、歯茎が腫れてしまい、歯周病になりやすくなります。タバコを吸う人は吸わない人に比べ約2~9倍の確率で歯周病になりやすいと言われています。歯周病で歯の抜けてしまう本数は、年齢と深い関係があり、年齢が上がるに従い、抜けてしまう本数も多くなります。又、早くからタバコを吸っていると歯が抜けてしまう時期も早くなり本数も多くなると言われています。

虫歯について説明しますと、タバコを吸うことにより汚れが付きやすくなり歯の表面が乾燥しやすくなります。すると、虫歯を作る菌への抵抗力が弱くなり、むし歯になる確率が高くなる事が知られています。

歯周病の所でも述べましたがタバコの害は喫煙開始年齢が低いほど強く害が現れます。又、ニコチンには依存性があります。成人ではニコチン依存症となるのに数年~10年近くかかります。一方、子供では2週間~数か月でニコチン依存症になってしまいます。その代わりニコチンパッチなどの効果も速やかに現れると言われています。 ニコチンパッチというものは禁煙中のイライラを緩和してくれる医薬品で腕や腰に一日一回貼ればいいシールです。 依存性があるということはやめられなくなるということです。年齢が若いほどタバコの悪影響を受けやすいのですが禁煙の為の薬も効きやすいと言われています。

日本では、喫煙は20歳になってからと法律で定められています。タバコの体に及ぼす影響をよく理解し吸わないことを推奨します。

しただ歯科 笹川 弘康